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zoom RSS Ulla Colgarassによるアーメリングのインタビュー

<<   作成日時 : 2017/01/28 16:42   >>

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音楽雑誌の記者のUlla Colgrassが書いた, "For the Love of Music"と言う書籍の中に, アーメリングとのインタビューが収められています. 1988年刊のこの本には, 22人の音楽家とのインタビューが収録されています. あまり聞き慣れない名前の人が多いのですが, グレン・グールド, エーリッヒ・ラインスドルフ, ヨー・ヨー・マなどが含まれています.
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アーメリングとの1981年に行われたインタビューの記録は, 8ページに渡り, 他の機会にアーメリングが訴えていることが再度確認できますが, 彼女の芸術感などを新たに確認できます. また, 女性のインタビュアーにしかできないような質問もあり興味深く読みました.
以下に, 私が注目した発言の概要を記します. 本当は, アーメリングの含蓄のある発言の全文訳(A4で11ページ)をここに掲載したいのですが, 著作権を侵害してしまいますので, 以下は抜粋の要約です.

Ameling :"アイーダでもだれでも, その役を演じるときには, 心理的な洞察がなければなりませんが, オペラでは, それがさらに明確でそして一人の性格に発展してゆきます.
歌曲では, 一晩で, たくさんの歌を歌いますが, これらはすべて異なる人物なのです. 時には, その雰囲気の中であったり, 詩の中の表現であったりしますが, それらの中には小さな人物がいるのです. そして, この人物が何を心の底から細心のディーテールで感動させるのかを提示しなければなりません. ですから, 私は, ディーテイルの感覚が必要と思うのです."

A: "曲を心から知り, 唇からこぼれ落ちるほど良く知れば, このぞくぞくは, 毎晩戻ってくるのです. “Selighheit”や, “Ständchen” を歌うと鳥肌が立つのです. ・・・・本当の鳥肌ですよ!"

A: "私は, グレン・グールドが雑誌の中で言ったことに反論する点があるのです. [グールドは, コンサートでの演奏は, “全くの浪費の行為”だと語った.] 彼が考えるように考える人もいるに違いありません. しかし, 私は, 私の考えるように考える人の方が多いと期待しています. 彼が, 聴衆とコンサートを行うことが全くの浪費であると言ったのは不思議でなりません. なぜなら, 我々, 地球人の精神に, そして, 作品が遠い昔に生まれた, 精神的な領域に出会うのに, 生身でみんなが参加する瞬間より良い場所はないのです. 参加しなければなりません. この肉体を持っていることは避けられないのですから. 最も好ましい状況から得られるもの, −いつもではないのですが, たびたびあるのですが − 目に見えない波, 私が, “fluidum” と呼ぶものが, 芸術家のみならず, 聴衆からのわき出てくるのです. これらが出会うとき, “happening” (よい英語ですが)が起こるのです. こんなことは, レコードでは起こらないでしょう."

Colgrass: "そうすると, あなたは, レコードは好みの媒体ではないと思っていますか ?"

A: "そんなことはありません. 完全性の感覚を訴えることができるので, 好みます. 何回もやり直すことができます. 私たちは, 常に完璧にしようと思います. 不可能なのですけれども, その努力が美しいのです."

A: "私が, 昔, イェルク・デムスのピアノで, 仕事をしたときのことを思い出します. 私が彼に, 「聴衆がいないのに, どうやってこの感動的な歌を歌ったら良いのかしら ?」と言ったことがあります. そのとき彼は, 「エリー, 私が, あなたの最も大切な聴衆じゃないか.」と答えてくれて, 問題は解決しました. コントロール・ルームに仲間(クルー)がいれば, 彼らは, すべて一緒にいてくれます. このことが非常に助けになるのです. 後ろからと前からの照射がなければ, 成り立たないのです."

A: "こちらの大陸(アメリカ)の方です. ここでは, とても美しい音楽に対して素直で, 関心します.

C: " ヨーロッパでは, そうではないのですか.?"

A: "そうですね, 違います. ヨーロッパでは, 「私は, 美しい音楽をここに聴きに来た.」と言うよりも, 「彼女はどのくらいうまいんでしょう.」と言うある種の感覚があると思います. アメリカ大陸の人たちは, 美しい音楽を聴くために来てくれます. そして, 歌手がよけれが, 反応してくれます."

A: "私は, たびたび, 日本でツアーをしました. そこでの聴衆は, 私が慣れていたのと違うのです. 多くの東洋人と同じように, 感情を簡単に表しません. 日本で始めて歌ったときは, 簡単ではありませんでした. 「ああ, 何かが間違えているんだ.」と思いました. たぶん, 声がこのホールに届いていないんだ. − 私は問題ないと思うのに, 何が起きているのだろう? そして, 最後に私は 本当の熱狂をもらいました. 彼らは, 喝采で, 私の集中力を削ぎたくないと思っていることが分かったのです. それほど思慮的なのです. "

C: 最近, 少しリサイタルの世界が縮小しています.

A: リサイタルの歌手が少ないのです. 若い時のシュヴァルツコップ, 若い時のゼーフリート, スゼーや若いピアーズ, フィッシャー=ディースカウの黄金はどこへ行ってしまったのでしょう.

C: 心配ですか.

A: 少しだけ, しかし, あんまり心配していません. リート芸術は, 50年間あるいは60年間死んだと言われます. 自慢して言うわけではありませんが, ホールが満員で, リートを聞きに来る人がいるということはどういうことでしょう. マスタークラスにやってきて, うまくなりたいと言う意志をもった若い歌手に興味を引かれます. この人たちは, この大陸(アメリカ)ではそんなにたやすいことではないのですが, 語学を勉強します. これらの若い歌手の中には, 大きな才能を持った人もいます. ですから, 私たちは, そんなに多くないリート歌手と狭い通路を通り抜けているのでしょう. 私たちが, 方向性のない時代に生きているからなのでしょうか. すべての点に対してそう言えるかどうか大きな疑問ですが, 私たちは, すべての局面で, 経済的にも政治的にも真空の中にいます. ですから, 人々が, 小さなディーテールを探し求めることは, あまり理にかなったことではありません. −もっと明確な, 大オーケストラ, 大オペラの方に向いてしまいます. 安らぎの時間がくれば, リートに戻ってくるかもしれません.

A: " 私は, マスター・クラスをあまりやりませんが, 時々, 何年も, 何年も勉強している人に会うことがあります. 私は, 「ああ, 舞台に乗りなさい, やりなさい. そうすれば, 本当の経験がえられるのですよ.」と思います. 私の最初の伴奏者は, イェルク・デームスでした. もちろん, 立派なソロ・ピアニストです. 彼は, 器楽の観点から, リート芸術に挑みました. いかに, ピアノが重要かと学んだことは, 私にとって大きかったです. デームスはまた, ドイツ語の詩とニューアンスの感覚を私に植え付けてくれました.
同じく, 一緒にやっている, ダルトン・ボールドウィンは, 私にフランス語のセンスを与えてくれました. その頃は, 私の歌い方は, まだ, とてもエネルギッシュだったのですが, ボールドウィンは, とても静かな愛情を発散してくれて, リラックスさせてくれ, 子守歌を歌う感覚を与えてくれました. 共演者から本当に学ぶことができるのです. そらから, もちろん, アーウィン・ゲイジや, ルドルフ・ヤンセンとも, ツアーをしました. 私が一つの音をある表情で歌うと, ルドルフは, 驚くべきことに, 私が次にどの音をどう歌うかを知っているのです. そして, それを私が発信するのです."

C: "あなたのご主人は, 芸術に携わっていますか."

A: "いいえ, 彼は, 私が家にいるときも, 家から離れている時も, 私が必要とすることを全てやってくれます. すべてを可能にしてくれます."

C: "ご主人はあなたのマネージャーですか."

A: "マネージャーではありませんが, 私の面倒をよく見てくれます. 私はとても幸運です. 全ての夫が, 時には3ヶ月にも渡って妻がいないことに満足する訳ではないですので."

C: "ご主人は, あなたのやっていることを, 大いに賞賛しないといけないですね."

A: "そうですね, 主人は, それを滅多に口に出しませんが, 私はそれでよいと思っています. "

以上, アーメリングのファンの方は, 是非, 原本(英語ですが)を入手して, 読んでみて下さい.

次回は, アーメリングがシューマンのリーダークライスについて対談している本を紹介したと思います.





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内 容 ニックネーム/日時
Sandmann さん、ご無沙汰しています。いつもアメリンクの情報ありがとうございます。また、音源のリストを見ていつも感嘆しています。
ところで、私のところに貴リストに見当たらない以下の録音があります。いずれもFM・NHKからの録音です。
私が持つよりSandmannさんに持っていて頂いた方がよいのではないかと思っています。ただし媒体がMDです。我が家では機器が壊れもう聞けません。
1.1992年津田ホールでのコンサート。Schubert。録音に失敗し5曲しかありません。
2.1981年12月横浜リサイタル。Schubert。
3.1978年9月4日フランドル音楽祭。Schubert, I,Gage。
4.1975年8月10日ヘルシンキ音楽祭。Ravel,Wolf。I.Gage
もし受け取って頂けるのでしたら、私のHPのProfile の中にメールアドレスがあります。ご住所をおしらせください。

昨年妻を亡くし私自身終活に入っています。LP、CD関係はたぶん全部お持ちだと思いますので詳しく調べてはいません。
ことしの京都は残念ながら行けません。もしSandmannさん来られる予定があり、時間が合えばその時に京都駅でお渡しすることも可能ですが。
Liederkreis
2017/04/18 11:32

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Ulla Colgarassによるアーメリングのインタビュー Im Abendrot/BIGLOBEウェブリブログ
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