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zoom RSS イギリスBBCのアーメリングのインタビュー番組の要約

<<   作成日時 : 2015/06/26 22:22   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 8

先に紹介しました, 2015年6月13日にイギリスBBCのRadio 3から, インターネット放送されましたアーメリングのインタビュー番組の要約を紹介します.

逐語訳を作ってみたのですが, これをそのまま, ブログに掲載すると, ひょっとしたら, 著作権を侵害するかもしれないので, この番組をここで"引用"する形で紹介します.

さて, 以下に拙訳を載せますが, 誤訳があるかもしれません.

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(1) 最近の若い歌手たちについてどう思うかと言う質問に答えて

「若い歌手には, ディテールの感覚が欠けています. 特に, 芸術歌曲(Art Song)には, 絶えることのないディテールがあります. なぜならば, たとえば, シューベルトの歌曲のようなとても簡潔な歌曲は, 魅力的な作品ではありますが, プッチーニでもヴェルディでもありません. 「ワー, ワー」といった最大音のエンジンとか興奮. これらを, 最近では, 人々は欲しがりますね. でも, これを, 芸術歌曲(Art Song)に私は見つけることはできませんでした.

私は, Art Songの心を終始追求しました. なぜならば, これらの領域に集中する人が少なかったからです. 私は, 音楽の中の詩情(poetry)をとても愛しました. ドイツ語の詩を読むことから初め, 音楽を聞き, 自身のために歌い, そして, 惚れ込んでしまいました. ハムとパンの一切れと, ワインを時々飲みながら. 今ではそんなこともできませんが.

若い人たち(Kids)は, オペラを指向し, 名を高めなければならないですが, 私は, 彼らに, リサイタルで歌うことを, 薦めたいと思います.」

(2) アーメリングの声の美しさの魅了されるというコメントに対して.

「ある目的のために, 優れた技術によって, 巧に生み出された声は, それが, 歌とかアリアとか議論する前に, 美しいのです. そして, 我々は, 美の論点に行き着きます.

ベルカント−美しい歌唱−, はどこにあるのでしょうか, 教えて下さい. どこへ行くのでしょうか. まだ, 存在するのでしょうか. ベルカントは, 単に美しい歌唱ではなく, 美しくてそして表現をもった歌唱でありました. 私はディテールな歌唱をオペラに聞くことが少ないのです.」

(3) 自身の録音を聞くことがあるかという質問に対して.

「いいえ. 自分の録音を聞くには, いつも, ウオッカにオレンジ・ジュースを混ぜたものが必要です. とても恐ろしいのです. なぜなら, 特に, 録音の直ぐ後では, そのレパートリーが頭の中にあり, 頭と心の中にあるイメージを歌うことができなかったという思いが起こるのです. 現在, 年を経て, さらに, 過去の録音から離れていますが, 時々は, 良いと, そんなに悪くないと感じ, なぜ当時, そんなに悲しかったのかと思うこともあります. でも, 今でもなお, 「だめ, だめ, だめ」と感じることが多々あります. 」

(4) 若い頃のことについて.

「当時は, 私の歌を多くの方が聞きに来て, それに対して, お金を払っていただきましたが, 私が満足できないものに, 恐らく, 聞いた方も満足できなかったでしょう. これが, 初めのころは, 私の中で, 羞恥心を育ててしまい, ステージに立つことが全くできなくなりました.

その当時は, 誰かが, 私の歌唱に何か特別なものをみつけ, 私の歌唱を聴きたいと思うとは, 思いませんでした. 私は, ただ単に歌うのが好きなのでした. そして, 従順に先生に従い, コンテストに行きました. そして, コンテストで2回優勝しました. そして, コンサートです.

何が起こったか. 私の場合は, 歌う能力がないと感じてしまいました. シューベル, バッハ, ドビュッシーを歌おうと思う自分は誰なのかと. そして, その緊張は膨らみ, あるリハーサルで, 歌うことができなくなり, 声が止まってしまいました. 「はー, リラックス, リラックス, 終わった.」と感じました.

それで, 書店で働き始めました. 本の売り方を勉強しまし, 試験を受けようと思いました. 29歳の時です. でも, 本の販売の資格をとるのは当時, そんなに易しいことでないことが分かりました.

そして, 1, 2, 3, 4, 5, 6ヶ月後に, 再度やってみようかと思いました. マタイ受難曲など, この種の音楽に係わるすてきなマネージャから, 歌ってみないかと誘いを受け, はい, やってみますと答えました. そして, 私は踏み出しました. 銀色の靴に, 赤のドレスを着て歌ったのです. 私は大丈夫でした. そして, 歌い続け, 以来50年間大丈夫でした. 若い歌手へ送る私のささやかな教訓は, このようなことが起きても, 初めの段階であきらめないことです.」

(5) 歌手の役割について

「歌手は, 責任と影響を与える奉仕者としての自覚がなければなりません. 作曲者および詩と聴衆との間の奉仕者でなければなりません. 途中にいて, 何かを付け加えてはいけません. すべてを通過される人格の管(チューブ)でなければならず, その途中にいてはいけません.」

(6) 個人の役にどうなりきるかについて.

「それは演技です. 芸術歌曲の演奏では, できる限り動いてはいけません. でも最近の若い人たち(kids)は, たくさん動きます. あまり, 見つめません(?). しかし, 演じることが重要です. 額の中に, 聴衆のために小さな絵を掲げなければなりません. これが理解すべき点です. 決して, 自分が何を演じているかを見失ってはいけません. これは, 画家に喩えることができます. 彼はチューブから絵の具を出して, 絵を描きます. しかし, 絵に自身を突出したりしません. 彼は絵を描くのです. これが, やるべきことなのです.」

(7) サバリッシュとの共演で, R. シュトラウスの4つの最後の歌を歌ったことについて, 普通の歌唱と異なることがあるのかという質問に対して

「異なります. オーケストラと共演するときには, オーケストラと調和して, 音響をホール内に響かせることは不可能です. したがって, 雰囲気, トーン, 音色, クレッシェンド, ディクレッシェンド, など, 歌詞(ライン)に調和するすべての事項に集中する必要があります. ライン, ライン, ラインがあります.」

(8) コンサートと録音との違いについて,
インタビューアーの
「あなたは, 録音とコンサートの違いを, 美しく語っていますね. あなたは, 私には新しい言葉ですが, Fluidum (注) という美しい言葉で, 表現していますね. 舞台にいるあなたと, 優れた聴衆との間にあるエネルギーですね. どのような, 結びつき(コネクション)なのか説明していただけますか.」
と言う質問に対して,

「まず, 何かを, 音楽的なもののみならず, 精神的なものを発信することから始めるでしょう. これは, 理想的な聴衆からの要求でもあります. これは, 歌曲の夕べ(リーダー・アーベント)の一種のワンマン・ショー, ワンウーマン・ショーで, これをやるには, 根性(guts)がなければなりません. 最近の若い歌手は, ステージに一人で立つことを危険と感じます. その結果, 彼らは音を歌うことに, 自分の声を歌うことに逃避します. 音楽の中身に重点を置くべきです.

理解してもらうという感覚, 聴衆とこれを分かち合おうという感覚です. 歌手は, 一種のFluidumです. 再び, Fluidumと言う言葉を使いますが, すなわち, 歌手と聴衆とのコネクションです.」

(訳者注 : ドイツ語のFluidumと思われます. 辞書によると, “流動体, (人格, 芸術からでる)精神的な影響力)
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以上, インタビュー番組の要約でした.

さて, 私は, アーメリングの録音を, 週に2時間程度聞くのですが, 決して, BGM的には聞きませんが, このインタビュー番組を聴いた後では, アーメリングの歌に対する, 感じ方が, すこし変わったような気がします. これほどまでの思いで, アーメリングは, 歌を歌うことに専心してきたのかと思うと. また, 若いころには, 挫折もあったのかと思うと.









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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
Sandmanさん、素敵な抄訳を有難うございました。
これほど興味深い話をしていたのですね。
特に、羞恥心からしばらく音楽を離れていたとは知りませんでした。書店で働いていた時期があるということは知っていましたが、そういう事だったのですね。
世界中の若い歌手たちにぜひこの放送を聞いてほしいですね。ファンの一人として、私もこのアーメリングの言葉の数々に重みと敬意を感じました。
フランツ
2015/06/28 20:15
フランツさん, コメントありがとうございます.
私は, アーメリングからこれだけの言葉を引き出した, インタビューアー(Tom Service)の音楽に対する造詣にも感心しました.
せっかくですので, 冒頭のT. Serviceの言葉を以下に紹介します.

「私は, 彼女が, ロンドンのウィグモー・ホールでのマスター・クラスを行った際に, 彼女に会いました. 彼女は今, 80代の前半で, 人生の英知のために働くこと, 今日の最高水準の歌唱に対する率直な意見を述べると言うユニークなポジションにいます. 私は, 若い歌手たちが幸運にも彼女の指導をうけることができたことに勇気づけられました.
心を打たれたのは, 彼らの誰もが, 彼女の音楽人生を, そして, 歌曲, 特に, ドイツの歌曲のレパートリーを, 目もくらむばかりの質と美しい声で, 探究心を反映した輝きと鮮明で追求することに専念する彼女のコンサート人生を見習ってみたいと思っていることでした.
さて, 優秀な演奏者になるために必要な, 哲学的で, 実践的なアプローチをマスター・クラスで提示した, アーメリングに会ってなにが聞けたか・・・・」
Sandman
2015/06/30 21:07
T. Serviceの言葉のご紹介を有難うございます!
助かります!!
確かにどれだけ興味深い話を引き出せるかはインタビュアーの腕次第ですね。
フランツ
2015/07/05 20:16
Sandman さん、アーメリングのインタビュー番組を紹介して下さってありがとうございます。最初のシューベルトの歌曲集のレコードを聴いて以来ファンを細々と続けています。
彼女が今も元気に活躍されていることを嬉しく思っています。そんな折、アーメリングのマスタークラスが関西でおこなわれます。ご存知でしょうか。
https://www.facebook.com/ellyamelingjapan
を参照してください。
2005年の京都以来ではないかと思います。
Liederkreis
2015/08/15 22:47
Liederkreisさん、こんにちは。
横から失礼いたします。フランツと申します。
アーメリングのマスタークラス情報を有難うございます!来日するらしいということまでは知っていたのですが、それ以上の情報が見つからなかったので、感謝しております。
フランツ
2015/08/17 09:01
Liederkreisさん.
アーメリングの情報を頂き, ありがとうございます.
日本に来るとは思ってもいませんでした.
Liederkreisさんからは, 私のHP開設後の初期の段階でコメントをいただき, その後, Liederkreisさんのサイトを, サイト移転後も時々, 読ませて頂いています.
1971年の大学生時代ににアーメリングのレコードに出会ったとこのこと. 私も, 1975年の大学4年生の時に, "夕映えの中で"が収められたPhilips版を聞いて以来, ファンを続けています. 恐らく, 私と, Liederkreisさんは同年代と思います.
Sandman
2015/08/17 22:11
フランツさん、Sandmanさん、こんにちは。お二人のアーメリングに対する愛情に見習いたいと思いつつ最近は少し離れてしまっていました。HPも店終いしようかと思うこのごろでした。この機会にまた気持ちを復活させたいなと思っています。今回は予定が入っていて24日しか聞きに行けません。許されるなら録音しようかと思っています。
Liederkreis
2015/08/19 11:25
Liederkreisさん、
もしご負担にならないのでしたら、ぜひHPは続けてください。
毎年の外国音楽鑑賞記は大変貴重ですし、現地に行けない私にとっては大きな楽しみです。
アーメリングについて、3つのサイトで共有出来れば、現役時代を知らない若い世代の方にも彼女の良さを伝えられるのではないかと思うのです。
私も出来ればうち1日は聞きに関西に出かけようかと思っています。
フランツ
2015/08/22 21:15

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